ARIUȘD(アリウシュド)
私が生まれ育った村。ルーマニア中部の小さな、小さな村。時間の流れの影響をほとんど受けず、30年前と全く同じ。シンプル、静か、自然的。人間と自然の調和的な共存が昔の同じように続く。煙突から上がる煙、赤い瓦屋根、川で遊ぶ子供達の声。庭で吠える犬、カラスから雛を守る猫、家の裏のタンポポ。弓のように空を飛ぶ燕、急に現れたワシ、夏の日暮れ、夜中の綺麗な満月。子供の頃に泳いだ川もそのまま。素朴な教会も昔と同じく、まっすぐで、カッコよく、村の歴史を語っている。おじいちゃんとおばあちゃんが眠っているお墓。自由に飛び回る近所のおじさんの鳩たち。遠くに見える山。東京と違う世界、違う生き方。時間の流れも違う。