コルクの未来は「ビオコルク」 最近スクリューキャップのワインが一般的になりましたね。ルーマニアワイン業界でも少しずつスクリューキャップを試すメーカーが増えていますが、やはり「スクリューキャップ派」と「コルク派」のバトルは未だに激しく続いています。
実は、私はどちらかというとコルク派です。もちろん、スクリューキャップの利点を認めますし、スクリューキャップのワインを飲まないわけでもないのです。 ただ、ワインの芸術的な部分を求めている自分にとっては、スクリューキャップはなんとなくワインの面白みと深みに傷をつけてしまうような気もします。 スクリューキャップのワインが「アートの世界」から離れてしまい、「商品の世界」に近づいているような感じがして、スクリューキャップのワインが世の中に増えるのを見ると、ため息をしてしまいます。 スクリューキャップの利点を理解していても、コルクがアルミやプラスチックに変わってしまうのが気に入らないのは正直の気持ちです。自分の周りをどこ見てもプラスチックとアルミばかりで、ワインまでそうなるとなんだか切ないと思ったりしています。
世界は前に進まないといけないと良く分かりますし、自分自身も「前進」という言葉も生き方も大好きです。しかし、伝統のあるもの、ロマンスのあるもの、「古き良き」のようなものを消して捨てたくないです。 コルクはスクリューキャップより不便なところはあるかもしれませんが、それでもコルクが好きで、抜栓というプロセスを楽しみたいです。コルクに描かれている字や絵も見たいです。それが歴史古いワイナリーの紋章だったり、ワインメーカーの名前だったりします。 コルクに何描かれているかのは一つの楽しみでもあります。その楽しみがやはり欲しいので、しばらくはコルク派のままでいます。スクリューキャップのファンが増えているに間違い無いと思いますし、これからも増えるでしょう。 新世代の動きを見て、コルクはどうなるのだろうかと心配していたのですが、あるルーマニアのワインメーカーが希望を与えてくれました。世の中になんと、ビオコルクが発明され、ワイン業界の中で既に小さな革命を起こしています。 そのビオコルクはリサイクルもでき、15年間の品質保障も付いています。コルク不良にならないコルクです。既に、ワイン業界の素晴らしい発明として認められ、様々な賞を受賞しています。
そのコルクの歴史は1980年代に始まりましたが、失敗が多く、コルク不良にならずにワインを完璧に保存してくれるコルクを作るのが中々難しかったのです。世界の有名な大学と組んで、研究を繰り返し、2008年にやっと酸素をコントロールできるコルクが作られ、2010年に発表されました 私の一番嬉しかったところは、このコルクに対するルーマニアワインメーカーのリアクションでした。実は、ルーマニアのワイン業界は基本的にスクリューキャップに対して他の国よりも大きな抵抗を持っていました。
フランスでさえスクリューキャップが流行りだしたのに、ルーマニアでは中々採用されませんでした。他の飲み物でスクリューキャップが一般的に使われているので、スクリューキャップの技術がなかったわけでもないのに、スクリューキャップを積極的に使おうとしないルーマニアのワインメーカーがほとんどでした。 外資系のワイナリーが例外的にスクリューキャップを使い始めましたが、国内市場はスクリューキャップを受け入れないままで、結局スクリューキャップの使用をやめ、コルクに戻ったワイナリーもあります。 しかし、嬉しいことにこの新しいビオコルクに何の抵抗もなく、ルーマニアのワインメーカーが飛びついています。「これで、コルクの問題が改善され、プラスチックやアルミを使わずに、ワインを美しいままで出せることが魅力的だ」と知り合いのワインメーカから聞きました。 やはり、昔の形も守りながら、中身を改善しようという考え方が好きです。また、自然を保護するために可能な限り努力するワイン メーカーを賞賛するべきだと想っています。このビオコルクは普通のコルクやスクリューキャップに比べ、まだまだコストが高めですが、「ロマン」を維持でき、自然の保護にも繋がるので、数円高くても良いのではないかと考えています。
この記事でスクリューキャップ派を批判するつもりは全くなく、このビオコルクでワインの「ロマン」にもちゃんと持続可能な未来があると思い、その思いをこの文書で伝えたかっただけです。
by Daniel BERES
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