カベルネ・ソーヴィニヨン Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨンは誰しもが一度耳にした事のある著名品種です。栽培適地が広く、環境適応力の強い葡萄品種で、濃厚な味わいで骨格がしっかりした赤ワインを生み出すポテンシャルを持ちます。この「葡萄の王様」と言われる品種の歴史や特徴を紹介したいと思います。
カベルネ・ソーヴィニヨンの歴史 1996年にカリフォルニアデイヴィス大学で行われたDNA解析の結果、カベルネソーヴィニヨン種は17世紀に、自然交配で誕生し、カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの子孫であることと判明しました。ソーヴィニヨン・ブランはピノ・ノワールの孫にあたり、カベルネ・ソーヴィニヨンはピノ・ノワールのひ孫にあたります。
19世紀の前半までは今ほどの人気はありませんでしたが、フィロキセラ被害をきっかけにボルドー地方からヨーロッパ全体へ広まりました。20世紀に入ると、オーストラリアを初め、ニューワールドの諸国にも伝わり、世界的に栽培されるようになりました。 栽培地と栽培面積 カベルネ・ソーヴィニヨン種はフランスのボルドー地方(特にメドック地区とグラーヴ地区)、イタリアのトスカーナ地方、スペイン、ルーマニア、ブルガリア、アメリカのカリフォルニア、チリのセントラル・ヴァレー、オーストラリア、アルゼンチン等で栽培されています。ワイン用の黒葡萄品種の中で、栽培面積は世界No.1です。O.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構)によると、世界のカベルネ・ソーヴィニヨン種の合計栽培面積は341,000ヘクタールです(2017年のデータ)。
葡萄の特徴 カベルネ・ソーヴィニヨンの果実の粒は小さく、果肉に対して種子が大きいです。果皮が厚いので、タンニン(ポリフェノールの一種)を多く含みます。
カベルネ・ソーヴィニヨン種の環境適応力が強いので、どのようなテロワールでも個性をしっかり発揮します。ただし、葡萄の発芽と成熟が遅めで、冷涼な産地では十分に熟成しないため、比較的温暖で、水はけのよい産地で栽培されています。 ワインの特徴 若いワインはパワフルで、スパイシーです。タンニンによる渋みも強く感じられます。熟成させると、タンニンが丸くなり、複雑な風味が生まれる場合があります。
ソーヴィニヨンブラン種と同じく、カベルネ・ソーヴィニヨン種はピラジンという香り成分を含む為、冷涼な産地で育つと、植物系のニュアンス(ミント、ピーマン、アスパラガス、ユーカリ、ハラペーニョ、針葉樹等)が感じやすくなります。 暖かい産地のカベルネ・ソーヴィニヨン種の場合、黒いフルーツ(ブラックベリー、ブラックカラント、ブラックチェリー、カシス)やスミレのニュアンスが感じやすくなります。 色みは深く、味わいは濃厚です。凝縮感がありながら、上品さも併せ持つワインが多いです。タンニンも多く含み、骨格がしっかりしています。長期熟成に向いていると言えます。 フランスのボルドー地方ではメルロー種とカベルネ・フラン種とブレンドされることが一般的です。オーストラリアではシラーとブレンドされ、イタリアのトスカーナではサンジョヴェーゼ種とブレンドされることもあります。ルーマニアでは単独で醸造されることが多いですが、シラー種、メルロー種や土着品種のフェテアスカ・ネアグラと組み合わせることもあります。 相性の良い食材 プロテイン豊富な料理との相性が良いです。特に赤身肉(牛肉、仔羊肉)に合います。調理法はソテー、ローストなどのオーブン焼きやグリルがお勧めですが、ビーフシチューとのマリアージュも良いです。チーズに合わせたい場合は熟成タイプのチーズがお勧めで、デザートと合わせたい時はビターチョコレートが良いでしょう。
ルーマニアのカベルネ・ソーヴィニヨン ルーマニア国内の合計栽培面積は5,406ヘクタール(2017年のデータ)で、メルローの半分以下ですが、葡萄品種としての人気上昇中です。メルローの人気度を上回ることは近い未来にはなさそうですが、カベルネ・ソーヴィニヨンで作られたルーマニアワインの品質が最近確実に上がっています。
ルーマニアにはユニークなカベルネ・ソーヴィニヨンのクローンもあります。ルーマニアのドラガシャニ研究所で開発されたクローン(CL 7)とルーマニアのヤシ(Iasi)研究場で開発されたクローン(CL 4)が代表的です。この二つのクローンはルーマニアのテロワールに最も適しているクローンだと言われています。ルーマニアでしか栽培されていないオリジナルのカベルネ・ソーヴィニヨンです。
メタモルフォシスワイナリーのフィオレンゾ・リスタ醸造家がこのルーマニアクローンの情熱的なサポーターで、評価の高いカベルネ・ソーヴィニヨンのワインを生産しています。 お勧めのカベルネ・ソーヴィニヨンのワイン |